幕末オオカミ
「いったい何があったの?」
「お前にゃ関係ねえだろ」
総司はぶっきらぼうに返す。
何よそれ。
あたしはあんたが殴られちゃいけないと思って……。
「楓、このバカには何言ったって無駄だよ」
「平助くん……本当にどうしたの?」
「知らない。思い出したくもないね」
平助くんはぷいとそっぽを向くと、そのまま屯所の方へ去っていってしまった。
取り残された総司は、その背中を木の幹にもたれさせた。
「……どうしたの?顔色が悪いよ……?」
総司の肌はもともと浅黒いけど、今日はおかしい。
見たこともないような、病人みたいな色をしていた。
「ねえ、体調でも悪いの?
平助くんがあんなに怒るなんて、おかしいよ。
どうしたのか、あたしにも言えないの?」