幕末オオカミ
「そーじっ!!」
「あぁ?」
「ちょっと、これどうしたのよっ」
よっぽど暑いのか、皆のいる部屋へ行くと……
ほとんどの人が着流し一枚、原田先生にいたっては下帯一枚で団扇を扇いでいた。
あぁむさくるしいっ!
「どうしたの、楓」
平助くんが、あたしの持っていた着物をのぞきこむ。
それは、洗濯途中の総司の着物だった。
「ここ、血のシミとれないよ。
いつも言ってんじゃん、汚れたらすぐに漬けとかなきゃダメだって」
袖口に、傷跡をぬぐったような血の跡が付いていた。
いつもの返り血なら点々としていて目立たないが、これはあまりにも格好悪い。
「あー……巡察の序盤で汚したんだ。しょうがねぇだろ。
落ちなくてもいいから、そのまま干しておいてくれよ」