幕末オオカミ
総司は面倒くさそうに、団扇でしっしとあたしを払うようにする。
「あたしは蚊かっ!」
「うーん、て言うか……」
「完全に、世話女房じゃねえ?」
原田先生と永倉先生がにやにやしながら、あたしと総司を交互に見た。
「ばっ…かなこと言わないでください!」
かああと一気に血が昇ってしまったあたしは、先生達を怒鳴りつけた。
しかし先生達はにやにやしたまま、「おーこわー」などと言っている。
「はいはい。
お前もいちいち噛み付くんじゃねえよ。
ほら、行った行った」
「なんだよ総司、女房に冷てえじゃねえか」
「女房じゃありません」
総司はぶっきらぼうに答える。
しかし話のネタがないのか、永倉先生はしつこく食い下がる。
「おまえら、デキてんだろ?
さっさと祝言でも挙げちまえばいいじゃねえか」