幕末オオカミ
「総司……またまた、照れちゃって」
平助くんがその場をとりなそうと、明るく言う。
しかし、総司は冷徹なままだった。
「いや、やらねえし、ならねえ。
いつどうなるかわからないんだし、なあ」
って、あたしにふられても……。
いつどうなるかわからないってのは、お互いの命のこと?
それとも、心変わりするかもしれないってこと?
「……うん」
モヤモヤする胸を抑えて、なんとかうなずく。
そりゃああたしだって、祝言挙げるなんて考えたこともない。
けど、総司の口からそう断言されると……ちょっと、切なかったりするんだけど。
このバカに察しろって言うほうが無理だよね。
「じゃあ、あたし行きます。
先生方、いいですか、血がついた洗濯物は早く出してくださいね!」
あたしはそれだけ言うと、総司の着物を抱えて部屋を去った。