幕末オオカミ
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「総司ぃ、お前最近楓に冷たくないか?」
原田さんが、楓の足音が遠ざかったのを確認して、そう俺にきいた。
「そうですかね」
「そうだろー。
春頃までは誰が見てもわかるくらい、アホみたいに可愛がってただろ」
「そうそう。
『鬼の沖田先生が変わっちまった!!』って、一番隊も大騒ぎだったのに」
「なんですか、それは」
しまった、そんなに露骨に態度に出てたのか。
俺としたことが……。
動揺を隠し、団扇を扇ぎ続ける。
「……楓が可哀想」
平助が俺を責めるようににらみ、ぽつりとこぼす。
「途中から冷たくするなら、最初から手出さなきゃいいのに」
「……喧嘩売ってんのか、てめぇ」
「先に売ってきたのは総司じゃないか。
もっと大事にしてやれよ」