幕末オオカミ


「俺、言ったよね?
自分でちゃんと楓に話せって」


「あのー、一体何の話……」


「ぱっつぁんたちは黙ってて!!」


「すいません……」



原田さんと永倉さんはハラハラした顔で、こちらを見守っている。



「もうやめようぜ、平助。
話なら表へ出ろ」


「これ以上話すことなんかねえよ、バーカ!
あーあ、俺非番だし、島原にでも行ってウサ晴らしてこよー!」


「おい、平助……」


「待て、島原だと!?」


「それなら、俺たちも行くぞ!!」



さっさと行ってしまった平助を追いかけて、原田さんたちも行ってしまった。


部屋にはただ、俺だけが残された。



「……何やってんだかな……」



平助が置いていった団扇を拾い上げようと、背を丸める。


そのときだった。


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