幕末オオカミ

3.約束



目の前には、難しい顔の土方副長が座っている。


総司の着物を干したあと、すぐに副長室に呼ばれたんだ。


いつもは屯所の外で隠密行動をしている山崎監察も同席していた。



「まあ、座れ。急ぎの用だ」


「はい」



なんなんだろう。


副長に呼ばれるなんて、嫌な予感しかしないけど……。



「単刀直入に言おう。
楓、お前にある場所に潜入してもらいたい」


「任務ですか。いったいどこへ?」


「……四条小橋、薪炭商桝屋」


「薪炭商?」



って、書いて字のごとく、薪とか炭とか扱う商家だよね?

いったいなんで、そんなところへ……


質問する前に、山崎監察が口を開く。



「そこの主人、桝屋喜右衛門が長州派不逞浪士と繋がっているという情報を手に入れたんや」


< 370 / 490 >

この作品をシェア

pagetop