幕末オオカミ
「……!!」
そういえば春から、長州の攘夷派が京に戻ってきつつあるという情報があった。
あたしたちは密偵を続け、ちまちまと見つけてはその度に捕縛していたのだけど、ここ、という潜伏先は見つけられないままだった。
相手もバカじゃない。
潜伏先はバラバラ、しかも不定期に変えられているようだった。
「京の人々は長州勢に同情的やから……
色々苦労して、やっとここまでたどり着いたわ」
「山崎監察……」
「というわけで、裏が取れ次第、至急詮議にかけなければならない。
お前は桝屋が長州と繋がっているという確たる証拠をつかんでこい」
と、いうことは……。
まだ、噂の段階にすぎないということだろうか。