幕末オオカミ
色仕掛けって……あたしが!?
「本当なら、適当な後見をつけて女中として入るのが理想なんだが、今回は時間がねぇ。
倒幕派の連中は、近いうちに何かやらかすつもりだ。
早くしっぽを捕まえねぇと、手遅れになる」
「そうですよね、そんな荷物を運ぶってことは、何かやらかすつもりでしょうね」
「桝屋は相当の女好きだ。
商売女であろうが、素人であろうが、人妻であろうが、とっかえひっかえ連れ込んでいる……そうだよな、山崎」
「ええ」
「そうですか……」
いや、理屈はわかりますよ。
それなら、新撰組唯一の女である私が行くしかないよね。
でも……
「色仕掛けって……あたし、できますかね?
向いてると思います?」
「はぁ?」
何を聞くんだという目で、土方副長があたしをにらんだ。