幕末オオカミ

「……すまねぇな……」



土方副長は、目をあわさずにぽつりと言った。



「……ただ、総司には……」


やっぱり、知られたくない。


あいつはまた、自分があたしを拾ったせいだと、後悔するだろうから。


それに、せめて……総司の前でだけは、綺麗でいたい。



「ああ、言わねぇ。約束する」


「ええんか、楓くん。事前に報告した方が……」


「山崎くん。
君なら、自分の女にそう報告されて黙っていられるか？」



土方副長の言葉は、山崎監察の言葉を失わせた。



「……大丈夫かもしれませんけどね、報告しても。最近冷たいし。
二人で会うことも、あまりありません」


「……楓くん……」



気を使わないでと言いたいのに、山崎監察はますます渋い顔になってしまった。


それは、土方副長も同様だった。



「総司はお前に、何も言ってねぇのか……」


「え？」


「いや……なんでもない」