幕末オオカミ
任務につくのは明日。
何にせよ、時間がない。
許せよ、楓。
土方副長はそう言って、あたしを下がらせた。
部屋から出ると、すぐそこに斉藤先生と山南先生がいた。
「あ……すみません、お待たせしました」
「いや、お疲れ様」
軽く挨拶を交わし、二人は入れ違いに部屋に入っていく。
あたしと山崎監察は、その場を後にした。
詳しい打ち合わせをするためだ。
「…………」
「どないした、楓くん」
思わず副長室の方を振り返ったあたしに、山崎監察が優しく声をかける。
「あの……すぐに行きますので、先に行っててください」
「君は?」
「ちょっと、蔵に……着物を干しっぱなしなので」
「ああ、そうか」