幕末オオカミ
固まって動けなくなったあたしの肩、ぽんと手がおかれた。
「局長……」
「……聞いてしまったのか?」
振り向くと、そこには優しい顔の近藤局長がいた。
「…………」
「その様子だと、何も知らなかったのか……とにかく、お入り」
局長は返事のできないあたしを抱き起こし、副長室の襖を開けた。
「小娘……っ!!
お前、山崎くんとの打ち合わせはどうしたっ!?」
あたしを見て、副長は珍しく焦った顔をした。
どうして、そんなに悲しい目をしてるの?
ねぇ……
誰か、こんなの大したことない話し合いだって言って。
どうして皆、あたしを哀れむように見るの?
「……楓くん、総司に何も聞いていないんだな?」
局長の優しい声にうなずく。
「何なんですか?
このままだと、総司はどうなるんですか?
いえ、今総司はどういう状態なんですか?
いったい皆さん、何の話を……」