幕末オオカミ
「やだよ……」
「俺だって、嫌だよ。
寿命で死ぬなんて、ジジイみたいで格好悪い。
どうせなら、戦場で死にたかった」
バカ。
自分のことばっかりじゃない。
「……こんなやつに、つき合うことねぇから……距離を置こう」
「あんたが死んだら、あたしが衝撃を受けるから?
それをやわらげるために?」
「そうだ。
……お前、結構俺のこと、好きだろ?」
「バカ……!!」
なに笑ってるの。
なに、似合わない冗談言ってるの。
どん、と拳で総司の広い胸を叩く。
「結構、じゃなくて、大好きなんだけど……っ!!」
「…………」
「離さないって、言ったじゃない!
そばにいるって、言ったじゃない!
いつ死ぬかわからないなんて、最初からそうだったじゃない……!」
泣きわめくあたしの前で、総司は相変わらず笑っている。
眉を下げて、困った顔で。
そんなの、いらない。
いつもみたいに、「うるせぇ、黙れ」って言って。