幕末オオカミ
総司はあたしの手をぐいと引っ張り、その広い胸に抱き寄せた。
何も言わずあたしに噛み付く唇は、まだ温かい。
舌も、息も熱い。
ほら、生きてる。
そうだよ。
あたしが生きてることも、そうやって確認して。
あたしの生を、むさぼって生きて。
「……っかやろ……、せっかく……我慢してきたのに」
口を離した総司は、またいつでも噛み付ける距離でうなる。
その声は、苦しげに震えていた。
「我慢なんか、しなくていいよ」
「ふざけんな……
お前を抱いたら、余計死にたくなくなるだろうが」
死ぬのは怖くない。
そう、今まで自分に、必死に言い聞かせてきたのに。
総司はそう言って、少しだけ泣いた。
あたしを、抱きしめたまま……。