幕末オオカミ
山崎監察は、その簪を、すでに髪についていたものと交換した。
「山南先生?これは……」
「これは、新撰組特別製。
局長に頼まれて、私が作ったんだよ」
ふ、と山南先生が至近距離に寄った。
頬がついてしまうのではないかという距離で、山南先生はこの簪がいかに特別なものであるか、あたしに耳打ちした。
「ちょ、山南さん!」
返事をする前に、総司が横から入ってくる。
「はは、心配しないでも、おかしなことはしないよ。
総司に斬られるのはごめんだからね」
山南先生はにこりと笑って、あたしからすぐに離れた。
余計な心配するなよー。恥ずかしいじゃないか……。
「じゃあ、行ってきます。
皆さん、ありがとうございます」
「うん、気をつけて」
挨拶をすると、近藤先生他、全員が優しく笑ってくれた。