幕末オオカミ


ただ一人、総司だけは……


自分だけ、あたしの任務内容を知らないという疎外感に苛まれている様だった。


あたしも、総司の方はあまり見ないようにした。


任務であるとはいえ、他の男を誘惑しなければならない。


あたしはそれに、どうしようもない罪悪感を覚えていた。


どうか、無事で帰れますように。


神様なんか、いないと思うけど。


お天道様に祈るくらいは、許されるだろうか。


そうしてあたしは、四条小橋にある、薪炭商桝屋に向かった。


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