幕末オオカミ


あと、一歩……


桝屋が横を通り過ぎる直前、あたしは物陰から飛び出した。



「わっ!」


「きゃあっ」



桝屋に思い切りぶつかったあたしは、しりもちをつく。


もちろん、これは作戦であります。


しかし山崎監察、こんなベタな作戦で大丈夫でしょうか……。


ええい、ままよ。


あたしは覚悟を決める。


そして、思い切り乳を両腕で寄せて、桝屋を見上げた。



「えろうすんまへん。
よそ見をしておりました。
どうか、お許しください」


「…………」



……どうだ?


桝屋の視線を確かめる。


……おおっ!!


見てる、乳見てるよ!!



「大丈夫や。ほら、手ぇ貸しな。
歩けるか?」


「へえ、おおきに」



あたしは差し出された桝屋の手を取り、微笑む。


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