幕末オオカミ
桝屋は裏の住居の入口からあたしを招き入れた。
母屋から少し離れたところに、蔵があるのが見えた。
あらかじめ、その位置を確認しておく。
「さあ、はよう。足を見てやろう」
「…………!」
蔵の方を見ていたあたしを、桝屋が引っ張る。
すぐに座敷につれて行かれ、ふすまを閉めた瞬間、桝屋は性急にあたしにのしかかってきた。
「あれ、やめて、だんなはん……」
「足を見てやるだけや」
「ああ、ご無体を……」
うえぇぇぇぇえぇ。
我ながら、なんて気持ちの悪い!!
桝屋の鼻息はすでに荒く、どこか生臭い。
手は必死で、あたしの着物を剥ごうとしている。
『少しは抵抗された方が燃える』
そう言っていた山崎監察の言葉を信じて、一度桝屋の肩を押し返そうとする。