幕末オオカミ
しかし、男の力はやはり強い。
あたしは、じっと待った。
上に乗っている男の重みが不快で、早く早くと、祈るように待ち焦がれた。
桝屋の視界がふさがれる、その瞬間を──。
「だんなはん、後生やから……」
「黙っとき」
「ん……っ」
とうとうきた。
桝屋はあたしの片手を拘束し、もう一方の手で乳をつかんだまま、まぶたを閉じ、接吻を開始した。
いやいやながら口を開けば、桝屋はこれでもかと吸い付いてくる。
まるで餓鬼のようだ。
気持ち悪い……!
ぬるりとした舌に蹂躙され、息が苦しくなる。
しかし、やるならば今しかない。
嫌悪に負けている場合じゃない!
あたしは、空いた片手で簪を抜き取った。