幕末オオカミ
5.池田屋事変
翌日早速、桝屋喜衛右門は新撰組の屯所に連行された。
「いつ戻れるんだろう……」
あたしは早朝から、寝巻きのまま蔵を追い出された。
もう昼近くなるというのに、桝屋の責め問は今も続いている。
「っていうか……てめぇ、そんな格好で屯所をうろつくなよ……」
「だって、鬼副長がこのまま行けって言ったんだもん」
あたしだって、嫌ですけど。
こんな、薄い夏の寝巻き一枚じゃ、いくらなんでもねえ。
さすがに恥ずかしいので、あたしは総司の部屋に転がり込んだ。
斉藤先生は蔵で、責問いに参加している。
「あっ、てめ……」
「え?」
総司が突然、あたしにつかみかかった。
昼なのに狼みたいな鋭い目で、首筋をにらみつける。