幕末オオカミ
「な、によ」
「……っそ……」
「どうしたの?」
総司の顔が鬼のように変わっていく。
あたし、なにかしただろうか。
奇跡的に任務はうまく運んで、無事に帰ってきたのに。
「……アトがついてる」
「あと?」
「ここ」
総司はとんとんと、指先であたしの首筋をつついた。
「接吻のあとだろ、これ」
「えっ!!??」
そんなの、いつついたんだっけ。
あー、思い出せない、というか思い出したくない。
「うわー……あの助平め……」
「……責問い終わったら、殺すか」
「……私の闘争は?」
「切腹か……チッ」
いくら総司でも、すでに捕まった敵を私怨で斬るのはご法度。
それができるなら、あたしもやってやりたい。
あたしたちが責問いからはずされたのは、そんな暴走を防ぐためだろう。