幕末オオカミ
昨日、帰ってきた時のあたしの姿は散々なもので、近藤局長や山南先生は目をそむけた。
着物は乱れ、紅はとれ、髪はぐちゃぐちゃ。
目をそむけずガン見していたのは、たまたまいた平助くん、原田先生、永倉先生だった……。
そんな先生達も、総司の矢を射るような視線で、大人しくなったけど。
その時から総司は、若干苛立っていた。
「……しょうがないじゃん、任務だったんだから」
「わかってる」
「じゃあ怒らないでよ」
「お前に怒ってんじゃねえよ」
そんな顔してたら、同じだよ……。
「ねえ」
あたしは総司の袖をつかむ。
「なんだよ」
珍しいものでも見るように、総司はあたしを見つめた。
そう、あたしから甘えるなんてことは、あまりないのだ。
だって、気持ち悪いんじゃないかと思うから。