幕末オオカミ


昨日、帰ってきた時のあたしの姿は散々なもので、近藤局長や山南先生は目をそむけた。


着物は乱れ、紅はとれ、髪はぐちゃぐちゃ。


目をそむけずガン見していたのは、たまたまいた平助くん、原田先生、永倉先生だった……。


そんな先生達も、総司の矢を射るような視線で、大人しくなったけど。



その時から総司は、若干苛立っていた。



「……しょうがないじゃん、任務だったんだから」


「わかってる」


「じゃあ怒らないでよ」


「お前に怒ってんじゃねえよ」



そんな顔してたら、同じだよ……。



「ねえ」



あたしは総司の袖をつかむ。



「なんだよ」



珍しいものでも見るように、総司はあたしを見つめた。


そう、あたしから甘えるなんてことは、あまりないのだ。


だって、気持ち悪いんじゃないかと思うから。


< 417 / 490 >

この作品をシェア

pagetop