幕末オオカミ
長い髪を首の後で一つに縛っている。
若干印象の薄い顔に思えるのは、眉毛が極端に短いせいかな。
「楓君を、監察方として、入隊させようと思う。
君の部下としてだ。どうだい?」
近藤はにこにことした、明るい太陽のような笑顔で呼びかける。
そっか、監察ってことは忍と同じような仕事だもんね。
変装してどこかに忍びこんだり、情報を集めたり。
だから、化粧で顔を変えられるように眉毛をそり落としたんだろうな。
「は、局長の仰せとあらば」
山崎さんは武士らしく、近藤先生に頭を下げた。
よしよし、順調じゃん?
この人が直属の上司なら、しっかりしてそうだし、信用できそうだし……。
「山崎さん、迷惑だったら迷惑だと、はっきり言ってください」
おいおい沖田!!よけいな口はさむなよ!!
「迷惑やあらへん。
忍の術が使える女子なら、歓迎すんで。
男だけやと、密偵に向かない場所もあるし。
単純に人手が増えるだけでも、嬉しいわ」
この山崎さんは、どうやら関西の出身みたい。
そうか、監察方って人数が少ないんだ……。
ってか、優しそうじゃん!
いい人そうじゃん!