幕末オオカミ
「……ね、え……」
聞こえてる?
ああ、自分が終わっていくのがわかるのに。
あんたに何を伝えていいのかわからない。
ただ、不思議と恨みはなかった。
痛み、恐怖、後悔、切なさ、悲しみ……
そんなものが溢れるなか、確かにあるのは。
どうしようもない、愛しさ────。
「……だい、すき、よ、
そう、じ……」
もっと、伝えていれば良かった。
結局、一回しか言えてなかった気がする。
「……聞きた、かっ、たな……
あんたの、気持ちも……」
奥手なあんたは、言ってくれなかった。
でも、わかっていたよ。
ずっとずっと、不器用でも、あたしを見守ってくれていたよね。