幕末オオカミ
「どうして……っ」
獣の牙のあと。
そんなものをここでつけられるのは、この俺しかいない……。
「楓っ……!!」
いつも何かが絡まっているようだった喉から、すんなりと声が出た。
しかし、そんなことはどうでもいい。
いったい、何があった?
どうして、楓がここに……
どうして、どうして
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして……!!
「……ぁ、ああああああああああっ!!」
混乱する頭で、ひとつだけわかること。
それは。
俺が、自分で、この細い首を噛み砕こうとしたという事実。