幕末オオカミ


わあわあ言いながら、いつの間にか布団に押し倒されたあたしの口を、総司がふさぐ。


もちろん、脳の奥まで溶けるような、甘ったるい口付けで。



「……約束したもんな、楓。
俺のものになるんだよな?」


「ぐっ……」



やっぱり、覚えていたか。


池田屋騒動が落ち着いたら、そうするという約束。


あの時は、お互いいつ死ぬかわからなかったから、焦っていたけど……。


元気になって思い返せば、なんと恥ずかしい約束だろう。



「そう硬くなるな。
俺までますます緊張するだろ」


「え、緊張してんの?」


「そりゃお前……理性を保ったまま抱くのは、お前が初めてだから」


「え、ええー!?」



なんか、すごい慣れてる感じですけど。


狼化したときの経験が、体に染み着いてるのか?


それとも野生の本能ってやつ?






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