幕末オオカミ
局長が部屋を出ていったあと、原田・永倉・藤堂先生があたしを囲んだ。
「楓ちゃん、沖田の代わりに、俺が面倒見ようか?
あ、俺のことは名前で呼んでよ。歳も近いしさっ」
満面の笑みで言うのは、藤堂先生だ。
「うーん……似てない兄妹だな」
「てか、総司、何で妹の世話をするのがそんなに嫌そうなんだ?」
永倉・原田両人のするどい指摘に、あたしと沖田は自分の立場を思い出す。
「そ、そんなことないですよ、嫌だなぁ、ははは。
皆さん、妹をよろしくお願いしますよ」
「あ、あの……」
「行くぞ、楓。
じゃあ皆さん、またのちほど!」
沖田は、気持ち悪いくらい明るく言うと、あたしの手を引き、蔵へと戻っていった。