幕末オオカミ
「昨日は薄汚れてたから、わからなかったけど」
「けど?」
「ちゃんとしてれば、まあまあ見られる……と、思う」
「……!」
これは……!
沖田が、あたしをほめてる!?
そして、照れてる!?
「ほ、ほんとに……?あたし、まあまあ見られる?」
「だから、そう言ったじゃねえか。
聞こえたなら、いちいち聞き返すな」
沖田はぶっきらぼうにそう言うと、ふいと顔を背けてしまった。
わぁ……嘘じゃないんだ……
ちょっと、嬉しいかも……
「だから、十分気をつけろ。
永倉さんは手加減をしてくれただけだし、山崎監察のようにお前が適わない男が、ここにはたくさんいる」
「はい……」
沖田の忠告は、あまり頭に入ってこなかった。
あたしは、身体中の温度が上がり、足の裏が床についていないような、不思議な感覚に捕らわれていた。