幕末オオカミ
なるほど、そりゃ幹部全員が稽古に出ないなんて、おかしいもんね。
「そういえば、斉藤くんは?」
山崎監察が沖田に聞く。
斉藤って、誰だろう。
幹部の1人なのかな。
「巡察に出てます。
声をかけようとしたら、もういなかった」
「仕事熱心だからな、斉藤くんは」
井上先生が苦笑した。
「で、今後の事って……」
「あ、そうや。沖田くんから説明するか?」
「いえ、山崎監察からお願いします……」
「兄上?」
沖田は少し、疲れているみたいだった。
いったい、あたしがいないところで、何が決まったわけ?
不思議に思っていると、山崎監察が口を開いた。
「ええと……実は俺、任務の性質上、あまりこの屯所におらんねん。
壬生村から出てることがほとんどで……だから君は少し慣れるまで、一番隊と行動をともにしとってくれ。
もちろん、隠密に」
「一番隊?」