幕末オオカミ
「ん?沖田くんが組長を勤めてるんやから、知ってるやろ?」
は?
ってことは、沖田が一番隊の組長で……
あたしはその一番隊に、目立たないようについて行けってこと?
「も、もちろん……」
「沖田くんと一緒の方が安心するやろうって、局長のご配慮や」
さすが局長!やっぱり、優しいっ!
「一番隊は、今日の夜に巡察に出る予定やったか?」
「……はぁ……」
何よ、沖田!
その心底嫌そうな顔はぁぁ。
「まずは巡察についていって、この辺りの地理を覚えてき。
仕事を頼む時は、また連絡するから」
「ハイッ!」
山崎監察はうなずくと、あたしに地図を渡してくれた。
もしはぐれても、帰って来られるように。
……やっぱり、子供扱いかい……
まぁいいや!
蔵の外に出られるんだし。
沖田の仕事ぶりとか、新撰組の働きを学ぶ機会だし。
ルンルンと浮かれていたら、山崎監察と井上先生が行ってしまってから、沖田がボソリと呟いた。