幕末オオカミ
「何で、今日に限って夜勤なんだ……」
「はい?」
「何でもない」
沖田は、首を軽く横に振った。
なに?夜だと都合が悪いわけ?
その顔を見上げていると、沖田は思い出したように「あ」と声を上げた。
「そうだお前、髪をちゃんと後で結って、鎖帷子をつけろ」
「鎖帷子?何で?
そんなもん大奥に置いてきちゃったよ」
「ここに予備があるだろ」
「え~……重いし、嫌だな……」
「チッ……じゃあ何でもいいから、乳をつぶせ」
「ち、ちちを……つぶす?」
「男に見えるようにしておけ。
万が一、見つかった時のために」
沖田は、わけのわからないあたしに少し顔を近づけ、囁いた。
「今日の夜勤より一足早く、最初の隠密行動をさせてやる。
向かうは、一番身近な敵地だ」