幕末オオカミ


「一番年長で、太っている男。
あれが、芹沢鴨(セリザワ・カモ)。
新撰組のもう一人の局長だ」


「えっ?」


もう一人の局長?


しかも芹沢って、さっき山南先生が名前を呼んだ途端、土方副長が機嫌を悪くしたよね?


いったいどんな人なの?


視線だけで聞くが、沖田はそれを無視して説明を続けた。


「あの狐みたいな男が、新見錦(ニイミ・ニシキ)。
あれは副長。他の三人は、副長助勤だ。
覚えたか?」


あたしは目をこらす。


「タヌキと、キツネね……」


全員、顔が赤い。


昼間だからまさかと思ったけど、やっぱり酒が入っているみたい。


時折、歌うような大声が聞こえてきた。


その時……



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