幕末オオカミ
山崎監察に教えてもらった集合場所に行く。
一番隊はすでに集まっていて、屯所の門を出て行くところだった。
「うわぁ……」
その集団に、あたしは一瞬で目を奪われた。
彼らは夜の闇の中でも目立つ、そろいの羽織を着ていた。
真夏の空の色を連想させる、浅葱色の、ダンダラ模様の羽織だ。
「趣味、悪ぅ……」
大勢そろってると、忠臣蔵の赤穂浪士みたい。
赤穂浪士って全員切腹したよね?縁起悪くない?
しかも、浅葱色って、田舎者の代名詞みたいなものだし。
そりゃあ京で陰口叩かれてもしょうがないよ……。
……そんな事を思いながら、あたしは少し離れて、木の上を移動し、彼らについていく。
「……チッ……」
「沖田先生?どうかしましたか?」
「……殺気を感じる」
「不逞浪士ですか!?」
「否……命知らずな黒猫だ。心当たりがある」
「???」
「……すまん、気にするな」