幕末オオカミ


「一人逃げた!
俺が追うから、ここは頼んだぞ!」



空気がビリビリと震えるような、大音声。


隊士たちがうなずく暇もなく、沖田は風のような速さで駆け出した。



「待って!」



あたしはその後を追う。


他の隊士は誰も追って来ない。


それって、あまりに薄情じゃない?


一人で行って、何かあったらどうするの!


……そんなあたしの気遣いを無視し、沖田は……



「足手まといだ!
お前は一番隊について帰れっ!」



と、怒鳴った。



「何だと!?」


「聞こえなかったのか?
忍の助けなんざ、いらねぇんだよ!
さっさと帰れ!」


な、ナヌぅ~!!


こいつ、可愛くない!!


いつもに増して、可愛くないっ!!


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