HANABI
「すいません。」
恥ずかしくて、なぜか謝った。
すると冬坂さんは笑うのをやめて、笑顔であたしを見た。
「君は?」
「へっ?」
「君の名前は?」
えっ‥なにこれ‥?
あたし、名前聞かれてる?
冬坂さんに、名前聞かれてる?
「吉岡です、吉岡実優。」
「吉岡実優‥か。」
ちょうどそのとき、他のお客さんが入ってきた。
「じゃあ、ごゆっくり、吉岡さん。」
冬坂さんは、そのお客さんの方へ行ってしまった。
あたしは、心臓がうるさくてうるさくて‥
仕方なかった‥。