ヤンキー王子とラブレッスン③【完】
「……怖い……もん……。
む……り……」


あたしには、蚊の鳴くような細くて小さな声しか出せない。


だから、あたしの声が五十嵐くんに届いたかどうかわからないけど……。


五十嵐くんは、顔を歪めて大きなため息をついて、それからストンと腕をさげた。


「もう、いい」


叫んだわけじゃないけど……。


心にも耳にも頭にも。


グサッと突きささる短い言葉。
< 12 / 420 >

この作品をシェア

pagetop