だから俺を好きになれ
目の前には、口角を上げて満足そうに笑う藤堂大地。
…違う。
今のはキスではない!
ちょっと口がぶつかっただけだ。
事故だ、事故!!
断じて、キスなんかじゃない!!!
頭の中で無理矢理そう結論づけると、私はゴシゴシと口をこすり始めた。
「何してんだ」
擦る手を掴んできたアイツを睨む。
「…今のは違うもん」
「は?」
「私、ファーストキスは好きな人とするんだから。
…今のはキスにカウントしないって言ってんの!
不慮の事故!」