だから俺を好きになれ


緩んだ手を振り払って、走りだす。


アイツは私を追いかけようとしたが、どうやら私に踏まれた足が激痛らしく、その場にうずくまっていた。


…ザマーミロ!!



ヘッと悪態をつきながら、走り去る。






…バクバクと心臓がうるさい。


走ってるから?

それとも…



「ナイナイ。あり得ない」


ブンブンと頭を振って、その考えを否定する。



アイツなんかキライ。
大っ嫌い。

心臓がうるさいのは、走ってるから。

それだけ。

走りながら、何回も何回も繰り返し自分に言い聞かせる。















…だけど、


嫌じゃなかったのは
どうして…?





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