白球の彼方~君に託した夢~
「よーい!スタート!」
雛菊の合図で俺と海斗、エースの東先輩、正捕手で二年生の上城慎之助(カミジョウシンノスケ)先輩が走り込みを始めた。
他の一年にもキャッチャーやピッチャー希望はいるのに
何故か俺達二人が走り込みに選ばれた。
200㍍ある上り坂をダッシュで駆け上がり
1㌔ある平地をランニングした後は
また200㍍ある下り坂を足に負担がないくらいに走る。
それを日が暮れるまでやり続ける。
そして、
これは毎日あると聞いた瞬間早くも海斗は挫折感を漂わせていた。
10回くらい繰り返した頃雛菊が持っていたタイマーが大音量で鳴った。
「ストーップ!10分休憩ターイム!」
海「あぁ゛、やっとかぁ…。」
上「一年なのによく付いてこれたな。ゆっくり休憩しろ。」
東「あれ?桑音は余裕な顔してるな。」
『体力はあるほうだと…。』
雛「はい、皆ドリンク!」
『お、サンキュー』
雛「翔也くん、走り姿よかったよ!」
『え?』
一瞬言葉が詰まる。
だってそんな事言われたら…
ずっと走ってられる気がして。