【短編小話】失 恋
あたしはそっと腕を解いた。

智君は優しい。

あの時から止まったままのあたしの時間を、何とかしようとしてくれたんだよね?

きっと背中を押したのはアイツ。

本当にお節介だ、隆平。

「智先輩。」

智君が懐かしそうな顔であたしを見つめた。

「好きでした。」

最初で最後の、

貴方への、

素直な気持ち。

智君は優しく笑った。

「ありがとう。」
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