【短編小話】失 恋
受験でぴりぴりしてた教室で、あたしも参考書に顔埋めてたら、急にお菓子をねだってきたっけ。

カフェオレ味のチョコレート。

渋々あげたあたしに、あんたが囁いた。

「これってバレンタイン?」
なんて!
いきなり言うから、凄い勢いで否定してしまった。

ホントに可愛くないよ。

だけどあんたはおどけて笑って、あたしの眉間をつっついた。

笑う門に福来たるって。

あたしは余計に自分が苦く思えて、笑いながら泣きそうな気持ちで一杯だったよ。
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