【短編小話】失 恋
満開の桜のもと、あたしたちは卒業式を迎えた。

母親がしみじみと、その制服も着納めねと呟く。

桜が風に舞って、
校門から中庭へ校舎へグラウンドへ。

その瞬間あたしたちのいた、過ごした、全ての時間が回帰した。

楽しかったことも、辛かったことも、千を越える学校での思い出。

その中に、あんたがいた。

どの季節にも、どのシーンにも、あんたの顔ばっかかぶってる。

ああ。
あたしは、馬鹿者だ。

あんたのこと、こんなにも好きだったなんて。
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