情炎の焔~危険な戦国軍師~
「こんな夜に城で何をなさるのです?」


天守閣を登りながら松明を掲げている誰かが聞く。


「こんな由々しきことが起きた以上、これからのことについて長盛殿や正家殿と話さねばならない」


と、三成様は答えて本丸に向かった。


その途中にいた人々に話を聞くと、やはりあの炎は細川屋敷のものだったという。


「む?」


本丸に着き、ある広間に入ると誰もおらず、三成様は眉をひそめた。


「長盛殿達がいないではないか。あいつらがいないと協議が出来ぬ。今すぐ呼んで来い」


と、早速使いを出している。


「殿」


使いの人と入れ替わるように左近様がやって来た。


「左近か」


左近様の顔を見て、三成様の顔の強張りが少し緩んだように見えた。


数日ぶりに想い人の姿を見て私の心臓は跳ねたが、それどころではないのでなんとなく2人の様子を見る。


ふいに視線がぶつかると、左近様はこっそり目配せしてくれた。


それからまたしばらくすると使いの人と奉行の2人が入ってきたので、私達は別室で控えることになった。
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