情炎の焔~危険な戦国軍師~
「私は未来の日本から来たんです」


「未来の?」


三成様が眉をひそめる。


「はい。多分この時代から400年以上経ってます」


「400年!?」


今度は左近様が声を上げた。


「はい。見て下さい」


私は傍らのキャリーバッグを開けて中身を2人に見せた。


洋服、プラスチック製の歯ブラシ、ペンケース、電子辞書、チョコやポテチなどのお菓子、チェック柄の財布といった物がやはりこの時代ではありえないビニール袋に入っている。


「変な着物を始め、わけのわからないものばかりだな」


三成様が首をひねりながらさりげなくまた洋服を変呼ばわりする。


それを言うと


「先程は変とは言ってない。おかしいと言ったのだ」


と屁理屈を言われた。


「ところでこれも着物ですか?ずいぶんと奇妙な形だし、変な大きさですね」


左近様の言葉でそちらを向く。


「わあ!それはダメ」


そして慌ててそれを引ったくった。


下着類はいくら知らないとはいえ、やすやすと見せられない。


ああ、恥ずかしい。


憧れの戦国武将に下着を見られるというとんでもないハプニングに、心臓が爆発しそうになる。


「そうか。これが400年後の日の本なのか…」


「信じて頂けます?」


ぽつりと呟いた三成様に、私は気を取り直して若干期待のこもった視線を向ける。


「まあ、確かに言葉は通じるのに身なりや持ち物がおかしいことについては一応の説明がつくな」


「そうですね」


三成様がそう言うと左近様も頷く。


「なるほど。それならば身寄りがないのも当たり前だな。しばらくここにいるといい」


「いいんですか?ありがとうございます」


ありがたすぎて私はまたお奉行様にひれ伏す悪代官よろしく土下座する。


普段は全然しないのにここに来てすでに2回も平伏するとは思いもしなかった。


当たり前のように家にいたけど、知らない場所に来て寝泊まり出来る所のありがたさがわかったからかもしれない。


そんなことを考えていると三成様がさらりと放った言葉が降ってきた。


「そんなに恩を感じるならば体で払ってもらおう」


「…え?」
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