情炎の焔~危険な戦国軍師~
「はっ」


さっそく敵の1人が私に刀を突き出してくる。


それを太刀でなぎ払い、脇差し刀ですかさず鎧の隙間を狙った。


「ぐっ…」


相手が倒れ込んだのを見てその場を離れ、次の相手と戦う。


その繰り返し。


これは何度もプレイしたあのゲームの世界なんかじゃない。


敵か味方かもわからない兵士のうめき声。


血の匂い。


失われていく人の命。


人形のように倒れる兵士達。


怖い。


だけど…。


大切な人を守る。


ひるみそうになるたびその思いだけを胸に蘇らせ、刀を夢中で振るった。


頭にガンガン響くような、まわりの雄叫びや怒声も聞こえないくらいに。


「やあっ」


刀が振り下ろされる前に思い切り相手に体当たりする。


そして馬乗りになって動きを封じ、太刀で襲う。


とどめは相手から目を背けてからさした。


私は戦わなきゃいけない。


この太刀で、意志で凄絶に乱世を駆けてみせる。
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