情炎の焔~危険な戦国軍師~
翌日はまた戦の準備をした。


私も城のあちこちを目まぐるしく歩き回り、兵糧や武器を運んだ。


「友衣さん、よくぞご無事で」


夜。


仕事が一段落して縁側で休んでいると、左近様が声をかけてきた。


「左近様。数日ぶりですね」


「あんた、いい顔になったんじゃないですか?」


「えっ」


思わず自分の顔に両手を当てる。


「前に会った時より武士の顔になってます」


「あはは…」


嬉しいような嬉しくないような。


なんて思って苦笑いしていると、いきなりぎゅっと抱きしめられた。


「さ、左近様?」


「ずっと会いたかった」


熱のこもった声でそう囁かれる。


心拍数がどんどん上がっていくのが自分でもわかる。


「んぅ…」


ふいに首筋に口づけられて、変な声を出してしまう。


「武士の顔になっても、可愛い声出すんですね」


「やっ、可愛いだなんてっ」


うわ、私ったらムードに酔ったかな。


まだ変な声のままだ。


「しばらく離れていて気付きました。あんたがそばにいることがどんなに幸せか」


「私だって」


戦況が動かず、陣中で考えたのはいつも左近様のことだった。


私の言葉に、彼の腕の力が強くなる。


「もう今夜は離したくありません」
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