情炎の焔~危険な戦国軍師~
「失礼しました」


あの後、なおも色々な話をしていたがそろそろ侍女達の部屋に戻ろうと思い、そう言って左近様の部屋の障子をそっと開けた。


「え」


しかし、私はそのまま固まってしまった。


目の前には偶然通りかかったのだろう、ひなたさんがいた。


何この偶然。


っていうか偶然より嫌がらせな気がする。


「あらあ」


ひなたさんは唖然としているであろう私の顔と、部屋の中にいる左近様の顔を見比べてニヤリとした。


「友衣達ったらやっぱりそういう仲だったのねえ」


「いや、あのこれは…」


私が何か弁明しようと発した声は左近様によって遮られた。


「そうです」


「左近様!」


なんであなたはそんなに爽やかにニコニコ笑っているんですか。


「まあうらやましい。左近様のような方に愛されるあなたも罪な子ね」


ひなたさんがため息まじりだけれどもどこか嬉しそうに言う。


「悪いが、俺は友衣さん一筋なんでね。誑しの左近はもうおしまいです」


「ごちそうさまでした」


笑いながらひなたさんは去っていった。


何だったんだ…。
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