情炎の焔~危険な戦国軍師~
秀家様は見損なった、という顔で帰っていった。
綺麗な夕焼けに反して、私の気分は重く、左近様も晴れない表情をしている。
その時だった。
「大変です!」
伝令の者が駆け込んできた。
「どうした?」
三成様が聞く。
「西方に火の手が上がっています」
それを聞いた彼の顔色がサッと変わった。
3人で急いで天守閣に登ると、確かに数キロ先に、薄暗くなった地上の一角を切り取るように火がめらめらと燃えていた。
それを見た三成様は血相を変えて走り出す。
「どちらへ?」
私は素早く彼の着物の袖をとらえた。
「佐和山城だ」
「なぜです?」
「あの火はもしかすると佐和山城を狙ってのものかもしれない」
考えすぎだと思った。
「佐和山へ行って城に残っている者達に指示を出して来る」
「ならばその指示とやらを教えて下さい。私が行きますから」
これ以上の三成様の迷走を止めたい私は半ば必死になって言った。
「女に夜道は危険です。俺が行きましょう」
左近様が歩み出る。
「オレの城だ。オレ自身が行って士気を上げて来なければならぬ」
また、三成様は私達の言うことを聞いてくれなかった。
すっかり暗くなり、降りてきた闇の中に三成様とお供の者の背中が消えていくのを見送りながら、私は悲しくなった。
綺麗な夕焼けに反して、私の気分は重く、左近様も晴れない表情をしている。
その時だった。
「大変です!」
伝令の者が駆け込んできた。
「どうした?」
三成様が聞く。
「西方に火の手が上がっています」
それを聞いた彼の顔色がサッと変わった。
3人で急いで天守閣に登ると、確かに数キロ先に、薄暗くなった地上の一角を切り取るように火がめらめらと燃えていた。
それを見た三成様は血相を変えて走り出す。
「どちらへ?」
私は素早く彼の着物の袖をとらえた。
「佐和山城だ」
「なぜです?」
「あの火はもしかすると佐和山城を狙ってのものかもしれない」
考えすぎだと思った。
「佐和山へ行って城に残っている者達に指示を出して来る」
「ならばその指示とやらを教えて下さい。私が行きますから」
これ以上の三成様の迷走を止めたい私は半ば必死になって言った。
「女に夜道は危険です。俺が行きましょう」
左近様が歩み出る。
「オレの城だ。オレ自身が行って士気を上げて来なければならぬ」
また、三成様は私達の言うことを聞いてくれなかった。
すっかり暗くなり、降りてきた闇の中に三成様とお供の者の背中が消えていくのを見送りながら、私は悲しくなった。