情炎の焔~危険な戦国軍師~
「三成様、体で払えって言いましたよね?」


「ああ」


「ならばなぜ兵士となるのはダメなんですか?」


「お前には侍女の方がお似合いだからな。だいたいなぜ、戦うことにこだわる」


「お守りしたいんです。あなた達を」


そう言うと2人の表情が変わった。


でも嘘はない。


彼らは散りゆく運命。


わかっているけど、助けたい。


そう思うのは少し話して彼らに親しみを覚えただけだからじゃない。


初対面のはずの私に向けられる優しさが嬉しかった。


「…そこまで言うなら致し方ない」


三成様はパチンと扇を閉じた。


「ただし、訓練は厳しいぞ。女とて容赦はせぬ」


「はい。よろしくお願いします」


今度は真面目に頭を下げる。


「まあ、せいぜい頑張ることだな。ほどほどに期待しておいてやる」


彼の扇はもう開け閉めされていなかった。
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