情炎の焔~危険な戦国軍師~
「今の殿はあんなにぴりぴりして余計なことまで気にしている。だから心配で」


「心配?」


「佐和山城(あっち)でも迷走しておかしなことをしやしないかって」


確かにそうだ、と思った。


今の三成様には自分もまわりも見えていない気がする。


大勝負を前にテンパっているんじゃないのかなって思うくらいに。


「不安だから見に行きたいが、俺までここを離れるわけにはいかない」


私は頷く。


「ましてやあんたに行かせるわけには」


「ううっ」


昨日の失態、本当は怒っているのかな。


そう思ったが、左近様の口から出た言葉は違った。
< 154 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop